はりの治療は、どんなイメージですか?

 「痛い」と思われる方が、殆どでしょうね。
それは、子供の頃にぬい針やバラのとげ等を指などに刺した時に痛かった記憶が潜在的にあるからだと思うんです。
かくゆう私もはじめて治療を受ける時はそうでした。
“はり治療をしたらよくなるから”といわれ“はりをしなきゃならんか”と覚悟してみたものの、いざする段になったら、身体が硬直している自分がよくわかりました。

 でも、「はりって、痛くないんです。」
どうしてかって?それは、針の先が丸くなっているからなんです。
縫い針は刺すために造られていますから、針先が尖っています。
 針先が丸かったら身体に入らないでしょう?って皆さんは、そう思うでしょうね。これには勿論技術が必要なのですが、それ以上に大切な事は、先が丸い針を身体が受け入れるという事なんです。

 はり治療は急性期の痛みに即効性があります。

 ぎっくり腰寝違えなど急に痛くなったり動けなくなったら、その日に来てください。すぐ痛みが軽くなり、動かすことが可能になります。

頭痛肩凝り吐き気めまい喘息鼻血目がかすむなど、「病名が付くほどではないけど、今とってもつらい、だけど薬を飲んでも効きそうも無いなあ」という症状に対し、鍼灸治療は100%有効です。

治療しているときから楽になり、その日のうちに日常生活を普通に送れるようになることがほとんどです。

 ここでは、そんな鍼灸治療にとって当たり前なことではなく、「えっ、そんなことまで良くなるの?」ということをご紹介したいと思います。



目 次

精神科編(NEW!)
 鍼灸治療でうつ病が治った♪

整形外科編・弾発指(NEW!)
 弾発指は外科手術をしなくても治る!

内科編・呼吸器
(NEW!)
 声がかすれる、声が出ない、そんな経験はありませんか?

内科編・皮膚

 円形脱毛症は鍼灸治療におまかせ

内科編・泌尿器

 腎臓結石・尿管結石が5日間で全部出た!

内科編・消化器

 ビラン性胃炎が3日で改善!!

産婦人科編

 妊娠36週目の逆子が治った
 妊娠41週目の妊婦、治療直後に喜びの陣痛





精神科編



鍼灸治療でうつ病が治った♪
 

  仕事のしすぎから頭が回らなくなり、身体がだるい、生きる気力が亡くなったという32歳の男性がいらっしゃいました。
 離職を余儀なくされ、自宅療養中とのことです。精神科に通院中で、「うつ病」と診断されたとのことでした。
 「あまり改善しない場合はお薬を服用しましょう。」と言われたので、薬以外に医療はないかと考え、鍼灸治療を受けてみようと思ったそうです。

  うつ病の方は、いろいろな症状をお持ちです。

 身体の調子が悪くなったのが先か、心の状態が悪くなったのが先かは関係ありません。身体の調子が良くなれば、心の状態が良くなることを実感しています。

 10年ほど前に、躁うつ病に対する鍼灸治療を開発して以来、殆どの方は社会復帰しています。その頃、精神分裂病(統合失調症)と診断され、生活保護を受けて入院していた方がソーシャルワーカーに連れられて当院に通院していましたが、12回の治療で治癒したと医師から言われ退院するに至ったときは、治療している私がさすがに驚いたぐらいです。

 鍼灸治療ってすごいなあ〜〜〜、です。

 今回通院していただいた男性は、5回目の治療にいらっしゃったとき、「先生、今日就職しようと思い面接に行きましたが、採用になりました。ありがとうございました。」ですって。

 鍼灸治療ってすごいなあ〜〜〜、です。


治療方法

 右腎兪、右肝兪、右心兪、右脾兪、右陰谷に刺鍼。用鍼は銀鍼1寸3分3番。


 
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整形外科編



弾発指は外科手術をしなくても治る!
 

指先を器用に使うことによって進化したと言われる「人類」は、絶えず手を使っています。パソコンを使って一日中細かな作業をしている人も多いと思います。強い力をいつも必要としていると、指が曲がったまま戻らなくなることがあります。痛みをこらえて伸ばそうとすると、自分の意思に反して急激に戻ります。この現象を称して「ばね指」または「弾発指」といいます。95%以上親指に現れます。これは、親指を曲げる「筋肉」が極度に疲労し、その末端部である「腱」が腫れて「腱鞘」という腱の通り道を自由に行き来できなくなった現象です。はさみをよく使う「理容師」「美容師」さんや「お花の先生」「電車の切符(乗車券)を切っている駅員さん」などによく見られます。筆圧の強い方が長時間文字を書いていても起きる現象です。
 整形外科医は「観血的外科手術」で対応します。手にメスを入れるということです。発症後数週間して症状がよくならず、手術を薦められた方が当院に来院し、外科手術を回避できないかという相談をよく受けます。
 「鍼灸治療」に期待をしていただいたことに感謝。ご安心ください。幸い今まで治療を継続していただいた方で改善しなかった例がありません。
 一昨日も、右手の親指が弾発している70歳の女性が来院されました。3週間鎮痛薬を服用し、通電治療をされていました。症状変わらず外科手術を勧められ転院、という典型的パターンです。2度治療し、飛躍的な症状の軽減に心も軽くなったようです。笑顔がまぶしい。
 多くの場合「弾発指」を改善するためには、平均して3週間〜5週間の継続治療が必要です。通院していただくことは患者さんにとっても大変なことですが、「明日も楽しみに来ます。」といっていただける医療であることに、自信を持ちます。


治療方法

 右内関、右外関、右三間に置鍼術。用鍼はステンレス鍼1寸3分2番鍼。
患部に灸頭鍼2回。用鍼はステンレス鍼、鍼柄1寸・鍼体8分・太さ4番。

 



 
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内科編



声がかすれる、声が出ない、そんな経験はありませんか?
 

 声がかすれる、声が出ない、そんな経験はありませんか?風邪を引いた後やカラオケに行った後などにおきやすい症状ですが、1週間たっても治らないときはどうしてますか?
 鍼灸治療のもっとも得意な分野は呼吸器疾患。風邪を引いて熱が出たときに最適な医療ですが、かすれ声にも鍼灸治療は最適です。
 風邪を引いて声が殆ど出なくなり、1週間たっても同じ状態で仕事ができない・喉がつらいという53歳の女性が来院しました。治療を進めていくうちに声がだんだん出始め、終わる頃には力を入れなくてもスムーズに話をしていました。翌日来院され、「仕事に殆ど支障なく無く仕事ができました」と報告していただきました。鍼灸治療の不思議さとすばらしさを実感します。
 歌手の方や俳優さんがよく声が出づらいといって当院に来院されます。お話しすることが中心の生活をしている方にはぜひお勧めしたい医療です。


治療方法

 右w門、右外関に刺鍼。左少商に透熱灸17壮。用鍼は、銀鍼1寸3分3番。

 



 
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円形脱毛症は鍼灸治療におまかせ

 

 青少年に良く起きる症状に円形脱毛症があります。悩み多き思春期に突然一部分の髪の毛が抜け落ち直径数センチに及ぶ円形状のハゲが出現する病気です。
 頭を使いすぎて頭の皮膚表面が緊張し血行不良になることが原因で髪の毛を支える力が衰えたためにでる現象です。簡単にいうと精神的ストレスを自分で処理できなくなったという事です。交感神経が興奮を持続しすぎている状態ですので、ここに薬を塗っても育毛を期待する事は極めて難しい状態です。
 最近はストレス社会を反映して、社会人の方がこの症状で来院される事も多くなりました。地球人類みな悩み多き世代のようです。

 かくいう私も、大学受験の時期に、円形脱毛症になりました。1年間大学病院にいきましたがまったく改善されませんでした。わが母校、明治鍼灸大学に入学後付属の診療所で、鍼灸治療をしたところ2週間足らずで髪の毛が生えてきました。「な〜んだ清野君、円形脱毛症なんかはり・きゅうで簡単に治るんだよ」といわれた教授の笑顔が忘れられません。円形脱毛症になっているときは心が弱っている上に、頭を見られて恥ずかしいという気持ちでいっぱい。町を歩くのも恥ずかしい気持ちになっておりこのまま生えてこないんじゃないかとさえ思っている人も少なくありません。そんな時にいわれた言葉は重く心に残ります。臨床家になって20年を超え、沢山の円形脱毛症を治療してきましたが、今まで生えて来なかった人はいません。脱毛部位が3つ4つあっても大丈夫です。

 18歳の女子大生が深刻な顔をして来院しました。「大丈夫、すぐ良くなりますよ。」そういって笑うとにっこりと今までの悩みを吹き払うように笑い返してくれました。8日後、「先生、髪の毛が生えてきました」といって笑顔を見せにきてくれました。私たちもうれしい瞬間です。1ヶ月がたち脱毛したところはほとんどわからなくなりました。日常生活に自信を取り戻した様子を見て鍼灸治療のすばらしさをかみ締めています。

 


治療方法

 初日:左心兪、左肝兪、左肺兪、左脾兪に刺鍼。脱毛中心部直接灸3壮。左地機に刺鍼。用鍼は銀鍼1寸3分3番。



 
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腎臓結石・尿管結石が5日間で全部出た!

 


  2日前の朝に突然はげしい腹痛になり救急車で病院に運ばれた44歳男性の患者さんが来院しました。左腎臓結石による痛みで、座薬をいれても痛みが楽にならないとのことでした。腰痛が発生し歩行困難を伴っての来院です。初日の治療を終え、痛みが軽くなり歩行がしやすくなりました。3日間治療し翌日レントゲン撮影したところ膀胱の手前まで結石が降りていました。
ここは尿管が偏平にねじれているので結石が引っかかりやすいところです。尿管結石で強い痛みが表れる時も殆どの人はここにあります。でも、直径5ミリ以下なら大丈夫。尿管の太さ以下ですのでそのまま通り抜け可能です。
 治療を開始して5日目に尿管結石に対して治療。その翌朝「石が出た」と喜んでいただきました。尿管結石は殆どの場合1回の治療でOKです。石の大きさが直径5ミリを超えている場合は、レーザー光線で破壊してから鍼灸治療を2〜3回すると砂のようになった石が全て出ます。
不思議でしょう〜〜〜?

 ただし、西洋医学者が「水をたくさん飲むと水圧が上がって?出ますよ」といわれたので毎日水を2リットル飲んでいますという人とか、抗生剤・鎮痛剤を1週間以上飲み続けている人はそうは問屋が卸しません。
 痛みが出ている時が治りた〜い・元に戻りた〜いといっている時です。そのときが治しどき・治り時です。

 


治療方法

 初日:右脾兪、右心兪、右腎兪、右肺兪に刺鍼。命門に63壮透熱灸。右陰陵泉、右復溜に刺鍼。用鍼は銀鍼1寸6分3番。
5日目:右脾兪、右心兪、右腎兪、右肺兪に刺鍼。用鍼は銀鍼1寸6分3番
右築賓、右水道に灸頭鍼3回。用鍼はステンレス鍼1寸6分5番。



 
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ビラン性胃炎が3日で改善!!
 

 陣1週間前にビラン性胃炎と診断され、薬物医療で緩解しない30歳の男性が来院されました。十二指腸の消化液が胃に逆流して胃の出口が炎症を起こしているという生理学的な判断です。じっとしていても痛みが強く仕事ができない。薬を服用しても、痛みが止まらないとのことでした。日常生活の不規則と精神的ストレスからくる胃痛は現代社会に多い一般的な「症状」です。「症状」がでたときは身体が元に戻りた〜いといっている時ですから、身体を休めなければ治癒しません。日常生活の養生を確認し(「くらしと養生」のコーナー参照)、鍼灸治療を開始しました。治療は約15分後に終了、そのとき痛みは殆ど消失していました。
 臓の病(肝臓・腎臓・肺臓・心臓・脾臓・膵臓)は4〜5日に1回、腑(胆嚢・胃・小腸・大腸・膀胱)の病は毎日診療するのがよいと認識しています。腑の病は短期間で治癒に導かなければいけない(導ける)からです。患者さんには次の日に必ず来院していただくように申し伝えました。
 翌日来院していただいたときには、胃の痛みは全くなく1週間ぶりに食事がおいしくいただけたそうです。急性時の腑の病に対しての治療効果の持続は約24時間と考えていますので再び同様に治療しました。2日後、食後の強いもたれと違和感が残存するのみとのことでした。4日後(前日休診日のため)に来院した際は、治療開始直後より1度も痛みが出ていない事を確認、違和感も前日に少しあったが治療開始後3日目までだったとのことを伝えていただきました。 
  3度の鍼灸治療で改善した事になります。その後、1週間経過した後も状態は良好であることを確認ました。
 鍼灸治療に西洋医学で病名診断された病気が改善する力があることは、毎日の臨床で実感しています。薬物医療に替わる医療であることは間違いのないところですが、生理学的な解明・基礎医学の進歩が待ち望まれるところです。


治療方法

 左心兪、左肝兪、左肺兪、左脾兪、左内関に刺鍼。用鍼は銀鍼1寸6分3番


 
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産婦人科編

妊娠36週目の逆子が治った
 妊娠34週で逆子になった妊娠36週と4日目の27歳の妊婦さんが来院されました。「お母さんための子育て学」のコーナーの『逆子を治す時期』をお読みになっていたので逆子の治りやすい時期が28週〜32週であること、つまり36週目の逆子は元に戻るのが非常に困難だと理解していました。産婦人科医からは39週を迎える前に帝王切開といわれており、体操やいろいろなことを試した後の藁をもすがる思いの来院でした。
 34週で逆子になるという事はお腹にゆとりがあることを意味しますが、胎児は日1日大きくなりますので時間との勝負です。こういう症例はやって見なければわかりません。日常生活の節制を確認した後(くらしと養生」のコーナー参照) 鍼灸治療をしました。4日後に2度目の治療を行いその3日後来院された時は頭の位置が変わっていました。その後、産婦人科で診察し逆子がなおっている事が確定し、4日後の帝王切開での出産をまぬがれることができました。
 「はりきゅうってすばらしい」とあらためて自分で実感しています。判明したのは38週目ですが、約4週間生まれてくる子供のため、遠い道のりを通院し、生活を節制するなど努力したお母さんの思いが胎児に通じたのだと思います。(気の交流)その喜びはいかばかりかと思いますが、治療した側も医学上の理論では計り知れない鍼灸治療の不思議さ・生命の不思議さを毎回感じます。

 身体は
 『気』で構成されています。

 『気』のバランスが崩れたのが病気です。
 『気』を調整する医学が東洋医学であり、
 『気』を調整する医療が鍼灸治療である
 事を強く認識する毎日です。


治療方法

 筋縮、命門、脊中、神道に鍼()
 命門9壮(八分壮)、左右三陰交9壮(九分壮)
 左右至陰5壮(焼灼灸)


 
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妊娠41週目の妊婦、治療直後に喜びの陣痛

 陣痛が予定日を過ぎてもなかなかこず、予定日の10日後(あと3日)までにおきなかったら帝王切開しましょうと産婦人科医に言われた27歳の妊婦さんが来院されました。なかなか深刻です。心配で夜も眠れないそうです。お腹がパンパンに張っていますが胎児の頭の位置は下がっていません。見たところまだ生まれそうにないのが見て取れます。
 
お話をお伺いしていてもわかるのですが、こういう妊婦さんはご多分にもれず身体が冷えています。薄着で、冷たいものを飲み、夜更かしをしています。生活の節制をお願いしてから(くらしと養生」のコーナー参照) 鍼灸治療を行いました。終了後身体が温まったといって帰られました。午後3時半ごろのことでした。
 こんな患者さんは時間との勝負ですので帰っても気になります。翌日になり「そういえばあの妊婦さんどうなったかなあ・・・」と思い出していたらご主人から電話がかかってきました。「治療直後買い物してから帰宅しようと歩き始めたらじきに陣痛がおきたようでその場から電話をもらいました。迎えに行ってすぐに入院し、翌0
:20に生まれました。5300gでした。
 心配していただけにうれしい1報でした。無事新しい命が誕生したことのお手伝いができた喜びと『はりきゅうは生む力まで与える事ができるのか』と、鍼灸治療のすごさを心の中で認識しつつその日の診療を続けました。


治療方法

 左肺兪、左腎兪、左心兪、左脾兪、左【足】三里に刺針。
 用鍼は、銀鍼1寸6分3番
 左至陰5壮
(焼灼灸)



 
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