メニューに戻る |
|
|
「脱・偏見」目指す 秋には公聴会 「人格を否定するような響きを持つ『精神分裂病』という名称を変えて欲しい」。精神障害者の家族からの要望をきっかけに、精神科医らでつくる日本精神神経学会(理事長=佐藤光源・東北福祉大大学院教授)が、取り組みを始めた。学会内の委員会が「社会的にも医学的にもこの名称は不適切だ」として新たな病名案を三つに絞り、会員に意見を求めている。秋には有識者や一般 の人たちを対象に公聴会も開く。 来年8月には、「心の病に対する差別 ・偏見の解消」を活動の柱のひとつにしている世界精神医学会の12回大会が横浜市で開かれる。日本精神神経学会は病名変更を「脱・偏見」活動の一環と位 置づけ、来年の大会までに新病名を正式に決定したい考えだ。 新たな呼び方の案は、(1)原語(ラテン語)の読みをカタカナ表記した「スキゾフレニア」(2)疾病の概念と診断の確立に功績のあった人名にちなんだ「クレペリン・ブロイラー症候群」(3)原語を翻訳し直した「統合失調症(統合失調反応)」の三つ。学会内に設けられた「呼称変更委員会」が提案している。 学会を動かしたのは、93年に全国精神障害者家族会連合会(全家連)が学会にあてた病名変更を求める意見書だった。 そもそも、「精神分裂病」という言葉には「人間の人格自体がバラバラに分裂している」というイメージがあるといわれる。全家連が家族を対象に行ったアンケートでは、「患者は社会一般 から『何をするのか分からない存在』と思われている」という意見が約6割を占めた。家族の約半数が、「病名を変更した方がよい」と訴えた。 こうした意見を受け、学会は専門委員会を設けて検討を始めた。昨年発表された委員会の中間報告は、「精神分裂病」という病名が持つ否定的な印象が患者の社会復帰を妨げる要因のひとつになっているうえ、医師が患者に病名を告知しづらくなっていると指摘した。 また、「精神分裂病」は本来、「太陽」といえば「夏」というような連想が分離し、「太陽」という言葉から、例えば「机」を連想してしまうという「連想の分裂」を意味する精神医学用語だった。それが、「精神機能そのものの全面 的な分裂」という意味に受け取られるようになってしまったという。 さらに「分裂」という症状だけでこの病気を代表させることは従来疑問とされていた。「精神分裂病」という否定的な言葉からは「症状が慢性的に進み、元に戻らない病気」という誤解が生まれやすい。こうしたことから病名変更が必要だと結論づけた。 新聞広告通
じ広く募集検討
|
|
|