医療保険改正法が成立
―来月実施―
高齢者らの患者負担増を柱とする健康保険法や医療法など医療保険制度改正関連法が30日夕、参院本会議で採決され、与党の自民、公明、保守党などの賛成多数で可決、成立した。2001年1月から実施される。制度改正は、70歳以上の診療窓口負担を1日530円の定額制から医療費の1割の定率制に改めるほか、69歳以下の患者負担も高所得者を中心に引き上げる。ただ、赤字にあえぐ医療保険財政を立て直すには遠く、先延ばしにされている高齢者医療制度など「医療保険制度の抜本改革」を求める声が一層強まりそうだ。
法案には民主、社民党が「医療保険の抜本改革のない負担増は認められない」と反対、共産党も「負担増」だとして反対した。抜本改革については参院国民福祉委員会で「新たな高齢者医療制度などの創設は2002年度に必ず実施すること」などとする付帯決議が採択された。この法案は先の通
常国会で廃案となり、再提出されていた。
医療制度はこう変わる
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現 行
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改 正 後
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外来
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1日530円
(5回目から無料) |
70歳以上の患者負担
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医療費の1割
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入院
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1日1200円
低所得者は軽減
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大病院(200床以上)=月額上限5000円
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低所得者
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月額上限3万5400円 |
中小病院(200床未満)=月額上限3000円
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一般
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月額上限6万3600円
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診療所(28床未満)=月額上限3000円の定率制か1日600円(5回目から無料)の定額制
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月収56万円以上の上位所得者
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月額上限6万3600円 |
医療費の1割、月額上限3万7200円
低所得者は軽減
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1日760円 |
月額上限3万5400円
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医療と介護を合わせた料率に法廷上限 |
69歳以下の患者負担
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月額上限6万3600円+(医療費-31万8000円)X1%
月額上限12万1800円+(医療費-60万9000円)X1%
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本人負担分免除 |
入院時の食費(全世代)
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1日780円
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月収の6割を支給 |
保健料率の上限
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介護の料率を法定上限の枠外に
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国民健康保険は保険給付の対象外 |
育児休業中の保険料
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本人と事業主負担分を免除
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自主解散 |
傷病手当金
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退職した年金受給者は対象外に
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看護基準
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入院患者4人に看護婦1人 |
海外旅行中の医療費
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国保も保険給付の対象に
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病室の広さ
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患者1人あたり4.3平方メートル以上 |
健保組合の解散
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財政難の組合に国が解散を命じられる
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努力義務 |
一般病床の基準
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入院患者3人に患者1人
新改築時から患者1人あたり6.4平方メートル以上
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医師・歯科医師の研修
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必修(医師2年以上、歯科医1年以上)
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病院名や医師名、診療科などに限定 |
医療機関の広告
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カルテ開示状況も可能に
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